彼は汗だくで作業を急いだ。
夏の芝刈りは結構きつい。
足を短く刈ると何度も袋を空けなければならない。
安全のために一旦エンジンを止めてやれと言われているので、
いちいちスターターを引いてエンジン始動するのも面倒だ。
あと少し、あと少し、、
何も考えてはいないが、とにかく作業を急ぎたかった。
その時だ。レバーを引いているのに歯の回転が止まって草が全く刈れなくなってしまった。
おい、なんだよ。
彼は心で舌打ちした。
原因はすぐに分かった。レバーと回転歯をつないでいるワイヤーが切れたのだ。
作業がもう少しで終わりそうだったのでその場を取り繕うとなんとかしようとしてみたが
無駄だった。
しょうがない、いろいろ言われてるし電話するか。
上司に顛末を報告する際
もう少しだったんですけどねえ、と言った言葉がのちのち問題とされた。
機器が異状をきたす前には予兆があるといわれる。
鈍感な彼にその予兆に気づけはしなかった。
翌日上司と落ちているであろう、パーツを探したがみつからなかった。
パーツが脱落したのも気が付かず、あるいは故意に作業を続けたと見做された。
ワイヤーの修理はメーカーに頼むと出張費とパーツ代、作業工賃などを含めると数万円。
彼はうなだれた。最近よくやらかす。
加齢のせいもあるが、無責任なやり方でここまで過ごしてきたツケが出てきたのだ。
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